FC2ブログ
多くの皆さんがご存じのように、日本の裁判は、民事裁判も刑事裁判も行政裁判も、原則として「三審制」が取られています。すなわち、まずは、地方裁判所(第一審。訴額によっては簡易裁判所、家事事件は家庭裁判所ですが)⇒<控訴>⇒高等裁判所(控訴審)⇒<上告>⇒最高裁判所(上告審)、の順番で一つの事件が審理されるわけです。

・・・というわけで、多くの方や、依頼者が「裁判は3回できるんでしょ?」と楽観(?)してやってくることがありますが、それは大きな間違いです。

代表的な、民事と刑事で結論を述べると、民事裁判は2つめの控訴審で出た結論を最高裁で覆す、すなわち、「逆転」することはほとんど難しく、刑事裁判は1つめの第一審で出た結論を控訴審や最高裁で「逆転」するのは著しく困難です(とくに第一審が有罪の場合)。

理由は、最高裁に上告される事件があまりに多すぎるからです。民事、刑事、行政、その他特別な裁判も、日本国憲法上、最高裁が終審裁判所として定められているからです。

最高裁の審理も法廷が開かれて、裁判官の前で、両当事者の代理人弁護士(民事)や、検察官と弁護人(刑事)が喧々諤々(けんけんがくがく)やり合う姿、いわゆる「弁論」を想像するかもしれません。しかし、みなさん、意外に思われるかもしれませんが、最高裁で弁論が開かれるのは稀なのです。上告した後に、上告趣意書(何で上告したか理由を記した書面)を提出し、書証(証拠書面)があれば併せて提出し、あとは、最高裁から判決や決定が示される予定日も明らかにされないまま、当事者はひたすら待ち続け、時には忘れかけたころに、「請求棄却」(原審の結論を維持する)という判決か決定の書面が郵送されてくるだけです。民事裁判は、とりわけ上告数が多いので、かような書類審理すらいたらず、「請求却下」という門前払いの制度もあるくらいです。最高裁で法廷、つまり「弁論」が開かれるのは、珍しく原審を破棄(破棄には下級審への「破棄差戻」と最高裁が自ら結論を下す「破棄自判」がありますが、破棄自判はまれです)する可能性がある場合か、死刑判決を下す可能性がある刑事事件か、違憲立法審査権に基づいて憲法判断を行う可能性がある事件だけなのです。

それと、「裁判の迅速化」の要請がこれに拍車をかけています(特に裁判員裁判ではそうですが今現在はあらゆる裁判で「迅速化!」がお題目のようになり、充分な審理がなされない「拙速裁判」も目立つようになりました)。

それでも、民事裁判は、事件を受任するときに、「これは高裁まで争いそうだなぁ」という見込みで行うこともあります。民事裁判の上訴審(「上告」ではなくて「上訴」というときは「控訴」と「上告」の両方を含みます)は、第一審の「続審」とされており、事件が上訴されている限りは同一の審理として扱われているからです。

しかし、刑事事件は異なります。刑事事件は第一審の判決が独立して完結するのです。控訴審は「事件」そのものではなくて、原審の「判決」を審理する「法律審」なのです(裁判員制度の導入も背景にありますが、同制度の導入前からこのような制度でした)。だから、「刑事事件は第一審が勝負!」なのです。ですから、たいがいの控訴審は、1回の公判期日で結審してしまいます。

どちらにしろ、最高裁で劇的な「逆転勝利!」が期待できるものではないことがお分かりいただけましたでしょうか?


関連記事
スポンサーサイト



Secret

TrackBackURL
→http://saiunlaw.blog40.fc2.com/tb.php/261-03cd655d